「耳をすます。目をこらす。私たちは声を聞く。」と、大きく掲げられているポスターが目立つ、第8回特別企画展「沖縄戦と戦争遺跡 戦世(イクサユー)の真実を伝えるために」が1月16日から2月24日まで、石垣市にある八重山平和祈念館第2展示室で開催されています。これは昨年10月21日から12月24日まで、沖縄本島の沖縄県平和祈念資料館企画展示室で開かれたもの。戦争体験者が年々少なくなる中、戦争の記憶を呼び覚ますのは、人の証言だけではなく、戦跡・遺品・戦跡の遺物など、モノもまた能弁に語るもの。それらにスポットを当てて、戦争の真相を浮き上がらせる試みがこの展示で、今回は八重山での開催とあって、八重山のコーナーも設置。戦争マラリアの犠牲の舞台となった、強制疎開先のひとつ石垣島の白水のジオラマを展示。登野城・大川の住民が疎開した場所や、兵士の駐屯地、御真影の場所や、支庁長の豪の場所が、示され、山深い白水での生活の跡である、様々な痕跡がそのままのこる様子が、写真で示され、その遺されたものが、展示されていました。国内では132の戦跡文化財が全国にありますが、沖縄には8つしかなく、しかも、国・県指定の戦跡文化財はひとつもないことが紹介されるなどして、日々、風化の度を増している戦跡への関心を、暗に促す企画展でした。八重山に来たら、観光客も移住者も、必ず見るべきは、戦争の爪痕。八重山で、八重山戦争マラリアを知らない人は、たとえ住民票があっても、いないも同然。マラリア有病地帯と知っていながら軍は住民を危険な場所に強制疎開させ、3647人が死亡。この軍の命令があって、犠牲者があり、かろうじて生き残った人々がある。集団主義が生み出す盲目の指揮系統が、悲惨な状況を生み、負ければほっかぶり。その痛みに対して50年経たないと、対応できなかった政府の不実。その事実。殺到しやすい集団というのは怖い。混乱があれば、冷静な判断ができなくなる。我々は、命令する側を監視できる民主主義を獲得しているはずであり、そのことを絶えず確認する義務を、この戦争マラリアの資料に触れる度に感じ続ける。何より、意識的に、史実と向き返る時間を持つことが大事ではないか。『沖縄戦と戦争遺跡の八重山戦争マラリアブース』の動画はこちら