妙な前例

妙な前例

 文科省の動きは不可解。国内の改憲論から端を発する右傾化に乗じての、稚拙な策謀と見る向きもあります。この教科書検定がどういう経緯で出てきたかが注目されるもの。戦時の非人道的な行為を認めることが、自虐的ととるか、あるいは二度と踏み外さないための「くさび」とするか。北朝鮮との対立感情が、分かれ道をなしつつあります。文部省でつくられた事務局案が、誰の意志で生まれてきたのか、その真相が知りたくなります。靖国参拝と連動している客観的な証拠はないものの、自衛隊のPKO・PKF活動など国際貢献を理由に国外へ出向くという、活動範囲拡大傾向を別な可能性を広げようとする画策まで邪推してしまう。修復に向けて、文科省は教科書メーカに訂正を容認の方向を出す。これは、自民党への求心力をねらった対応策。元日本兵の名誉を回復しようと起こった裁判が、なぜか影響した教科書検定問題。その経緯を裸にすべきである。誰がどういう発言と考えでこうなったのか。沖縄が怒ったこの審議結果に、これまでの審議会の沈黙はいったい何を意味するのか。無用な審議結果を出すに到った理由の方が、今後はもっと気になる。

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