五穀豊穣と来夏世の豊作を祈願する八重山の豊年祭は、8月10日に入り、もう締めくくりの時期。石垣島大浜では、海に向かってユークイをすることで知られる、大浜の豊年祭が今年もおこなわれました。海から幸がもたらされるとするニライカナイ信仰を示すのに、わかりやすい豊年祭です。大浜は、白保、真栄里、新川に並ぶ農業の集落。農業で栄える大浜は、豊年祭の綱引きの綱が、石垣島でもっとも大きいことで知られています。8月10日午後4時から、大浜の崎原道にあるオーセ御嶽で大浜村の豊年祭の奉納がこなわれました。生憎の雨で、しかも突然の豪雨に見舞われて、参加者は皆ずぶ濡れで、旗頭や舞踊などの奉納を終えていました。そのあと、神司を先頭に、海に向かって行われる世願いがおこなわれ、東節(あがりぶし)を唄いながら、幸を呼び込む手招き(ユークイ)がおこなわれ、会場から見える海へ向かって、幸を引き寄せていました。宝船を引き寄せる意味があるとされるこのユークイは、豊年祭では、竹富島でもおこなわれます。このあと豊年祭は、イリク太鼓や旗頭の奉納がおこなわれ会場は大いに盛り上がります。神事から余興に移ると、大浜の各班から様々な演目が披露されていました。余興が終わると、大綱引きのはじまりです。まずは、二人の武者の戦いが披露され、松明の明かりの下で、迫力ある戦いが披露されたあと、大綱引きがはじまりました。一番太いところで周囲180センチ、長さ70m以上もある2本の大綱は、見応えがあります。大浜の大綱引きは、大きな綱であるせいかなかなか勝負がつきません。ことに、この日は雨が降ったために、綱が水を吸い、なおのこと重くなっていました。4分14秒の長い戦いの末に、海側の雄綱の方である下村(しもむら)が勝利。豊年祭の綱引きは、西が勝てば豊作というものが一般的ですが、大浜の場合は、まったくの勝ち負け勝負とのこと。真剣な綱引きの一本勝負をするのだそうです。この日は、下村が勝利して、これまで上村が3連勝してきた連戦連勝記録を3でストップ。下村が互いに勝利の喜びを噛みしめあっていました。『大浜の豊年祭』の動画はこちら