毎年年末は慌ただしくなるものですが、大晦日に除夜の鐘を聞くと、何となく心静かに落ち着いた気持ちになります。また、八重山では大晦日に桃林寺に参拝し、除夜の鐘をつこうと行列ができるほどです。
ところで、除夜の鐘は人の心にある煩悩を払うため、その数だけつくそうです。人の心を惑わせたり、悩ませたりする煩悩は一〇八つあるといいますが、その数が多いと感じる人もあれば、少ないと感じる人もいるでしょう。
写真は、桃林寺前住職・安室禅秀さん(桃林閑栖)の若かりし頃の姿で、今まさに鐘をつかんとする瞬間です。今年は、八重山に桃林寺が創建された一六一四年から数えて、四〇〇年の節目の年でもありました。山門の仁王仏は、恐れられると同時に、身体の弱い子どもたちの守り神としての役目も果たしています。
今年の除夜の鐘は、そんな歴史も振り返りながら、耳をすましてみようかと思います。それでは皆さん、よいお年を。