鋭いかぎ型の嘴、握力の強い足爪を持つ肉食性の鳥を特に猛禽類と呼ぶことがあります。タカ類、ハヤブサ類、フクロウ類などがこれに入ります。生態系の頂点に立つ猛禽類は、健全な自然度を図る指標とされますが、近年生息数を減らしている種類が多く、保全の観点からも関心が高まっています。アンパル周辺でも主に冬期に多種類の猛禽類を観察することができます。水域にはミサゴ、草地や畑にはサシバやチョウゲンボウ、水田や林縁にはカンムリワシ、湿原にはチュウヒなどが好適な住みかとして生息しています。ひとたびその圧倒的なまなざしや行動をまともに見てしまうと、取りつかれてしまう人も多いのでは。今回は強烈な目力の猛禽類の魅力を紹介します。
●チョウゲンボウ(写真1)
ハヤブサの仲間でハトぐらいの大きさです。長い翼をあやつり、空中で静止し獲物を探します。目の色は虹彩が暗褐色、瞳孔が黒色なので、全体に大きなつぶらな瞳のように見えます。さらに涙を流したような線がありカワイイ感じのする猛禽です。
●ミサゴ(写真2)
大型の猛禽で、翼を広げると成人の身長ほどになります。水辺上空を飛翔しながら魚を見つけると水面にダイビングをして豪快に獲物を捕らえます。ツンツンした頭と白と黒の模様が印象的です。
●サシバ(写真3)
カラスくらいの大きさの中型の猛禽です。特に八重山では10月に大群(時に数千羽となる)で南下してくる「サシバの渡り」が秋の風物詩となっています。群れの多くは更に南下し、八重山では一部が越冬します。甲高い「ピックイー」という声が大空に響き渡ります。
●カンムリワシ(写真4、5)
ご存じ石垣島のシンボルバード。幼鳥の白い羽はとても印象的。この羽を「綾羽(あやぱに)」と呼んだ昔の人の感性に脱帽です。成鳥になると別種?と思えるほどの褐色の羽に変身します。目と目の周りの皮膚が黄色で他の猛禽類より鮮やかな感じです。