17 パイナップルのお話

私は幼いころから苦手な果物がありました。パイナップルです。アジア各国を回っておいしいと言われたのを食べてもしっくり来ず、初めて西表島のパイナップルを食べた時衝撃を受けました。以来、県内や海外いろんな場所でパイナップルを食べてきましたが今も西表島のパイナップルが世界一だと思います。
 あまりにも惚れ込み果物の加工を仕事として取り組み初めて6年…。ここ数年は冷凍原料として県外の大手製菓メーカーさんからの発注もあり、先方の依頼のもといよいよ島外のパイナップルを仕入れることになったのです。
 糖度や酸度が島産のものとは全然違います。加工工程もパッキング工程も箱もすべて分けての納品。骨の折れる作業にもかかわらず、聞こえてきたのは批判の声たち。あそこは外国産のパイナップルを仕入れて加工している、という明らかに関係者と思われる所から根拠のない誹謗中傷まで聞こえてくる始末…。
 西表島のパイナップルの知名度向上に寄与したいと思って始めた大口納品も思わぬ事態になり非常に残念です。日本のパイナップル生産量は6000トン余り、内約半分が八重山産です。沖縄県全体での生産量は国内で流通している量の5%にも満たないためか、一部のマニアックな方以外には知られていません。パイナップルが当たり前に手に入る島に暮らす人々にはその現実も信じられない現象かもしれないですが、おいしい国産のパイナップルを知ってもらいたい!というのが私の願い。知名度向上のためには大手メーカーさんのラインに乗っかり、その情報拡散をもとに更なる顧客を増やす、というのが最も有効だとは思いませんか。
 幾度となく足の引っ張り合いに出鼻を挫かれてきました。いつになったら協力、協調、というのができるようになるのでしょうか。西表島産パイナップル、はたまた県産パイナップルの品質向上と知名度拡大のため来年も走り続けるかどうか迷う日々となってしまいました。

崎枝 百合香

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