政府は南西諸島防衛強化のための石垣島、宮古島への自衛隊配備を先送りするという。 政府関係者が「11月の沖縄県知事選挙を前に、用地取得で地元を刺激することは避ける必要があると判断」(讀賣新聞7月31日)したと報じている。
選挙に不利なことはひた隠し、選挙で勝利すれば何でもできるという自民党政権のおごりや本音がそこにはハッキリと表れている。 こんな、市民や郡民を愚弄する〈暴言〉許していいのか。
舌ぬがりーみ(舌抜いてやろうか)、くぬひゃー(この野郎)とでも云いたくなる。
不動産による自衛隊員の部屋探しも始まっている。選挙が終われば、すぐに用地交渉が始まるだろう。石垣市は崎枝の不発弾処理場計画を住民の反対を無視し強行しようとしている。
二月の市長選挙の際、マスコミが自衛隊駐屯候補地と報じた大崎牧場と不発弾処理場計画地とは目と鼻の先である。自衛隊誘致との関係を市民が勘繰るのも無理はない。
辺野古では反対運動に機動隊、警察、海上保安庁それでも足りず自衛艦まで投入して弾圧をするという。恐ろしい。軍隊まで投入しての基地建設。恐怖をおぼえる。
中国脅威論を背景とする南西諸島への自衛隊配備は元防衛大学校教授孫崎享によれば無意味であるという。当然だろう。離島奪還作戦なんて住民を地獄に陥れるだけだ。国民保護計画なんて机上の論理。自衛隊も参加しての総合防災訓練など宣撫工作にすぎない。
仲井眞知事が流れを止めてはならないと知事選に立候補表明した。県民を裏切り、辺野古埋め立を承認し、交付金漬で県民の思考を鈍化させ政府の意のままに操ろうとしても無駄だ。沖縄県民はそれほど馬鹿でないし、健忘症でもない。
議会答弁などでは原稿棒読みの知事が、立候補すると熱弁家に変身した。オトボケと二枚舌は仲井眞知事の得意とするところある。
仲井眞知事は通産省技官で大田知事の副知事となり、退任後は沖縄電力会長として稲嶺恵一擁立、大田追い落としの陰の立役者となった。
守屋武昌元防衛事務次官の『普天間交渉秘録』読めば、仲井眞がいかに沖縄県民より政府に顔を向けていたかがわかる。普天間基地の移設について「沖縄県は頭越しの合意は許さないと五月の日米合意を批判してた。仲井眞知事も同じ意見を口にしていたが、私の前であれは私の本意ではない。選挙で稲嶺さんの支持を取り付けるために、私もそう発言したのです」(325p)。なんと稲嶺さえも騙したのである。
ついでに、同著には知事選に立候補している下地幹郎について「立候補を予定している下地さんを降ろさない限り、仲井真さんに勝機はないと聞いています。また仲井真さんで基地問題が解決できるとは私には思えません。基地を食い物にして基地問題の解決を遅らせている人を排除できるのかを、選挙の軸にして争うべきです」「そうよね、そんな人はやっちゃだめだよね」「小池大臣は私の考えに納得したようだ」(252p)とも守屋は曝露している。
大田知事を落選させ、流れを変えた。しかし、稲嶺は政治オンチで知事の器ではなく通産省や沖縄総合事務局出身の仲井眞に自民党は期待していたのだ。守屋の著書は沖縄政治屋や土建屋の利権をめぐる動きやその手先たちを知る貴重なものだ。
今度の沖縄知事選挙は普天間基地の辺野古移設を認めた仲井眞と支持率低下の安倍内閣に重大なものである。それだけに官房機密費をふくめ莫大なカネが動くことは当然であろう。安保マフィアといわれる「日米安保の既得権で飯を食う人たち」(寺島実郎)の土建屋や防衛関係者が総動員されなりふりかまわぬ攻勢をかけるだろう。沖縄の岐路だ。
それにしても、革新勢力はどこへいったのか。翁長那覇市長を擁立すると言うが、翁長も自民党幹事長をつとめたひとだ。今は対立していてもカーミノチビティーチ(夫婦はひとつ)という諺もある。革新勢力抹殺の遠謀かも知れぬ。革新勢力は、知事選後の参議院選挙や衆議院選挙も視野に入れ展望する必要がある。
石垣市議選立候補者、なにをしたいのか。福祉さえ言えばいいと思っているらしい。不動産屋の手先や利権屋、思考停止したような人物まで立候補するという。地縁血縁、同級生選挙。せめて、石垣市の現状と未来像を提出してもらい市民に判断を仰ぐという事ぐらいはして欲しい。