御香どぅ孝行〈四カ字〉

四カ字の旧盆には、アンガマの翁媼がやってきて、お盆の由来やあの世の話を説く。その問答は面白く為になる。しかし一体、翁媼の発する「七分(しちぶー)!」「チィダミぬ食(ふぁ)い残(ぬく)し!」「豚(おー)の糞(ふしゅ)!」等の悪態は何なのか。柳田国男はことわざの起源を悪口に求めるが、それに通じるものだろうか。
 ちなみに、「ツダミぬ食い残し」は、頭髪が薄いという事。これは「ぺーれー畑(ぱたぎ)ぬ粟(あー)んやー」(日照り畑の粟のよう)とも換言できる。頭髪が日照り続きの粟畑の粟の如くまばらに生えた様子をいう。
さて、「御香(うこー)どぅ孝行(こーこー)」(線香こそ孝行)という言語遊戯的な句はお盆にこそ効果絶大。亡くなった先祖や親に顔を見せて線香をあげることは何よりの供養・孝行である。また、「親(うや)ぬ孝(こー)さばどぅ子(ふぁー)にん孝(こー)しらる」(親の孝をすればこそ子に孝をされる)〈新城島〉というように、先祖供養・親孝行は自分にもかえってくるのである。

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