清書・天見やー傘張り〈四カ字〉

ワールドカップ・ブラジル大会が開幕し、全世界の注目を集めている。サッカーはゲームがめまぐるしく展開するので、監督はその都度一つ一つ指示することはない。
 だから監督は「天(てぃん)見(み)やー傘張(さなーぱ)り」〈四カ字〉と言うしかない。これは空模様を見て傘をさしなさいというものだが、それは状況を見極め行動せよと換言できる。グランドの選手は基本的に自己判断で動かなければならないのである。
 一方、監督は試合前に対策をたて、戦術を実行させるのが役割だから、試合中にできることといえば、選手交代の采配ぐらいであろうか。ここでは「天見(てぃんんに)てぃ笠被(かさは)りぇ」〈与那国〉という句をあてはめるのが適当かもしれない。
それはクバ笠を、畑用、漁用、夏用、冬用とつばの傾斜や深さの違いを使い分けるように、監督は選手の個性を適材適所に活かすことが大きな仕事といえよう。
 「傘」と「笠」―。ニュアンスは異なるが、要は監督も選手も臨機応変の対応が求められているということだ。

この記事をシェアする