半ら神甕 ざぼんざぼん〈字宮良〉

 半分しか水の入っていない甕のことを「半(なか)ら甕(かみ)」という。地域によっては「なはらかみ」「なーらかみ」と転訛する。もし他人から「半ら甕」といわれたら、自らの行動・言動を今一度見直したほうがよい。
 「半(なか)ら甕(かみ)ぬどぅ揺(ゆ)たぶ」(半ら甕こそ揺れる)〈四カ字〉とい句は、満たされた甕は安定しているが、「半ら甕」は不安定で揺れやすいということである。そんなわけで感情の起伏が激しく、怒りっぽい人はよく「半ら甕」にたとえられる。
 また、「半(なー)ら甕(かみ)ぬどぅ鳴(な)り騒(ば)ちゃーる」(半ら甕こそ鳴り響く)〈竹富島〉という言い方もある。こちらは中身のない甕ほど音が鳴り響くことをいっている。その心は中身のない生半可な人ほどよくしゃべるということ。また、大げさに言ったり、偉そうに振る舞うことを暗に戒めた表現である。
このような残念な人に、字宮良では擬態語を伴って、「半(なか)ら甕(かみ) ざぼんざぼん」と囃したりするが、そこにはユーモアと余裕が感じられる。

この記事をシェアする