名蔵アンパルは、渡り鳥にとって羽を休め、餌を採り元気を取り戻す湿地として重要な拠点であることが認められ、2005年にラムサール条約の登録湿地となりました。それを契機として全国的にも知られるようになったマングローブ湿地ですが、ここを訪れるのは空からやって来る渡り鳥だけではありません。海からやって来る来訪者もあります。
ある者は、餌を求めて満ち潮に乗ってやってきて、引き潮とともに海に戻っていきます。また、ある者は稚魚の時代にマングローブ林の隠れ場所や豊富な餌を求めてやってきて稚魚の時代をここで過ごします。
今回は、海からやって来る魚たちを紹介したいと思います。
ゴマフエダイ(写真1)
幼魚期に汽水域にやってきます。幼魚は横縞模様がありますが成長とともになくなります。満潮時にはマングローブ林の中にまで入り込んできます。川を遡上し淡水域にはいることあります。成長すると海水域に移動して全長60㎝になります。アンパルでも比較的よく見られます。
ミナミウシノシタ(写真2)
ササウシノシタ科で珊瑚礁の砂地に生息し、アンパルにも夜間の満潮時にやって来ます。小型の甲殻類やゴカイなどの底性生物を補食する。有眼側は黄褐色で斑点があることで見分けられます。ヒレの基部に粘液線があり、網などにかかると刺激性の粘液を分泌します。
オニカマス(写真3)
成長すると1・5m以上になる魚食性の大型魚です。アンパルには幼魚期に餌を求めてやってきます。成長すると海に帰っていきますが、大型魚になると人を襲うことが報告されており、地域によってはサメより危険ともいわれています。シガテラ毒を持つこともあるので、食用とする場合は注意が必要です。