11 アメトムチ 交付金に頼らない産業活性化を

雨季の八重山にいます。気象庁の見解とは裏腹に八重山地方は雨季(11月~3月)と乾季(4月~10月)の2つだと勝手に思っています。この地方は明確な四季があるとは言えません。むしろ先人が旧暦に沿って表現した独特の季節感があります。ミーニシ、ニンガチカジマイ、ハーリー鐘鳴ったら梅雨明け、等いつもピンポイントの季節感で感服するのみです。国の中枢から2000km以上離れたこの地に、気象条件も政治的思惑も文化的思考のいかなるものも強制させるのは間違っていると感じます。
 さてさて3月と言えば年度末です。公的事業にも関わっているためこの時期は報告書作成やら実績報告会などで多忙になります。そしてずばり今回のテーマは公的資金の使い道。
 すったもんだの末に仲井眞知事が辺野古移設を承認し、今年も沖縄に一括交付金が無事?配給されることとなりました。そして果たしてこの大金が適切に使われているのでしょうか、ということなのです。以前も書きましたが本来ソフト事業の為に使われるはずのこの予算が、綿密に計画され執筆された作文ひとつで従来と遜色ないハコモノの建設に転用されているのは多くの方がお気づきかと思います。そして住民のコンセンサスが得られないまま、一方的にそれらが進んでいるようにも感じます。
 例えると、県内あちらこちらで立ち始めたモニュメント。一基数百万から大がかりなものは一億円近くの資金が投入されています。利用使途は専ら記念撮影。さらに、建築物の耐用年数に達していないにも関らず、各種行政関連施設の建て替えも始まっています。沖縄ではワンシーズンの台風で破壊されてしまうかもしれないソーラー施設にも大金が…これらの多くは行政マンの内部での企画立案と議会承認を経て執行されます。そこに住民の声がほとんどないのです。パブコメを実施したとしても意見は数件のみ、気づいたら建っていたというのも少なくないのです。
 私は、これ以上の工作物への資金投入には待ったをかけるべきかと思います。あぶく銭、と思って湯水のごとく使うのではなく資金投入した後もその事業を中心にきちんと産業が成り立つような査定をしたうえでの承認が望ましいのではないでしょうか。そして本来使われるはずのソフト事業と言われる「人材育成」のような「見えないもの」に対して集中的に予算投入すべきです。そしてそのためには住民が産業活性化のために「何が」今必要なのか、きちんと行政に向けて声を上げていくべきです。今、身の回りで本当に必要なこと・ものは何ですか?

崎枝 百合香

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