巨樹・巨木との遭遇(26)

巨樹・巨木との遭遇(26)
巨樹・巨木との遭遇(26)
巨樹・巨木との遭遇(26)

イスノキ

 安良岳(366m)の東側連山で遭遇したイスノキ(マンサク科)の巨木です。2013年3月号に掲載した、平久保牧場を東に見下ろす尾根筋で遭遇したアカテツ の付近です。胸高の幹回り2メートル40センチ、樹高約9メートルの堂々の巨木です。
 同尾根筋には、今は廃牧となった平久保牧場と安良岳山林の境界として、古い有刺鉄線が部分的に断線しながら南北に延びています。常緑の高木・イスノキの和名は、沖縄方言のユシ・ユシキが由来との説もあるようです。本州(関東南部以西)・四国・九州・琉球の常緑樹林内に生え、朝鮮(済州島)・台湾・中国大陸中南部にも自生するようです。
 イスノキの種子は掲載した写真のとおりで、直径約1センチ前後です。しかし、木によっては、枝先に大きく成長した虫えい(昆虫が産卵・寄生して異常発育するコブ)を付けます。その虫えいが、大きさといい、色といい、ジャガイモに似ているためよく果実と間違われます。
 成長の遅いイスノキは、有用樹木の一つで、街路樹・建築材・器具材等に使用されています。建築材としては体育館の床材、器具材ではソロバンの枠の材料です。イスノキの芯材は樫の木よりも固く、昔から大工さん泣かせでした。つまり、カンナ・ノミ・ノコギリ等の歯が立たず、下手すると彼らの大切な道具が刃こぼれをすることもあったようです。
 今回は、平久保半島の安良岳に連なる尾根筋で遭遇したイスノキの巨木でした。

松島 昭司

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