第32回 八重山特別支援学校のアンパル観察会から学んだこと アンパルを自然環境教育の拠点として整備しよう

第32回 八重山特別支援学校のアンパル観察会から学んだこと アンパルを自然環境教育の拠点として整備しよう
第32回 八重山特別支援学校のアンパル観察会から学んだこと アンパルを自然環境教育の拠点として整備しよう
第32回 八重山特別支援学校のアンパル観察会から学んだこと アンパルを自然環境教育の拠点として整備しよう

 最近、アンパルの自然観察会をする学校が増えています。子どもたちに島の宝であるアンパルの自然を体験させることは大変好ましいことです。その際、学校での事前学習の取り組みと、現地調査をして安全対策をたてて干潟に入る必要があります。その良い事例をひとつ紹介します。10月9日八重山特別支援学校中等部の観察会をお手伝いしました。生徒11人(先生8人)が初めてアンパルに来るということで多少の不安がありました。水を怖がらないか、爪のとれたカニや、網で傷ついた魚を見てどんな反応をするのか、車椅子の生徒が2人来るので干潟や水の中でうまく行動できるのか、満潮前に帰ることができるのかなどでした。先生と現地で打ち合わせをやり、電話で何度か確認作業もして本番に臨みました。干潟で子どもたち生き生きとした姿をみて「自然が子どもたちを癒してくれる、自然と子どもたちは相性がいいのだな」と改めて思いました。学校でしてきた事前学習の効果も見られました、「カノコガイ、ハクセンシオマネキ、シレナシジミはどこにいますか、今日は見られますか?」などと講師に次々と質問をしていました。この自ら学ぼうとする姿勢は素敵なことでした。
 廣川講師が前日に捕獲していたノコギリガザミ、オカガニなどは水槽に入れて展示してくれました。おそらく初めて見る大きなカニたちに歓声をあげていました。廣川講師が投網を打つと、鮮やかな黄色いオキナワフグや水面を走るコボラもたくさん採れて、子どもたちは魚を手にとって感触を確かめていました。
 谷崎講師から配られた植栽スコップで、干潟にできた砂模様を追いかけていくとコメツキガニなどの小さいカニが出てきました。小さいカニは爪で挟んだりしないので安心です。スコップで掘り進んでカニの巣穴も見ることができました。干潟に立っている枯葉を抜くと誰かにかじられた跡がありました。枯葉をゴカイがえさにしていることを教えてもらいました。キバウミニナもマンググローブの落ち葉をえさにして大量繁殖しています。カニも、ゴカイも、貝も干潟をきれいにしていることを学びました。
 観察会が終了したら水遊びの時間です。子どもたちは生き生きとはしゃぎまわっていました。車椅子の子どもたちは、水中でも砂地の上でも動ける特殊な車椅子を先生に押してもらって十分に水遊びを堪能できました。名蔵川をジャブジャブと往復して無事戻ることができて事前に予測していた不安は杞憂に終わりました。子どもたちが先生のことを十分に信頼していることが、初めての干潟・アンパル体験を可能にしたのだと思いました。
 特別支援学校に限らず多くの学校がアンパルをフィールドにして子どもたちが自然から学ぶ機会を増やしてほしいものです。「アンパルの自然を守る会」は微力ではありますがお手伝いをします。
 現在、環境省が進めている「アンパル園地整備計画」が子どもたちの自然環境教育に寄与するものであることを最優先にすることを強く望みます。アンパルで子どもたちにしっかりと自然環境教育ができれば、アンパルの未来は安心できます。観光客の利便性だけを考える計画であればアンパルの未来は暗いです。それではアンパルの自然を守る力が育たないからです。

アンパルの自然を守る会 事務局長 山崎 雅毅

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