巨樹・巨木との遭遇(20)タブノキ

巨樹・巨木との遭遇(20)タブノキ
巨樹・巨木との遭遇(20)タブノキ

桴海於茂登岳(477メートル)の東回り登山道の3合目付近に根を下ろすタブノキ(クスノキ科)です。胸高の幹回り3メートル40センチ、樹高約6メートルのずんぐりとした巨木です。
 ここで、同岳の登山道を少し紹介します。登山道は2箇所あります。米原集落の知花食堂西側の舗装された畑道を南進すると、同岳の北側斜面が迫ってきます。左側には、樹冠から顔を出すヤエヤマヤシの群落が確認できます。程なくして、突き当たるキビ畑の奥が登山道の入り口です。その奥にイノシシの侵入を防ぐフェンスがありますが、中央にゲートがあります。ゲートを進み、しばらくは1本道ですが、数本の水道パイプが露出する辺りから分岐します。急登を避けた東回りコースと、45度の急登を登る正面突破のコースです。
 今回、東回りで行きました。点在するヤエヤマヤシを見上げながら登り、小川を越して尾根道を登ると、間もなく遭遇するのが巨木・タブノキです。タブノキは、海岸沿いから山林までの広い範囲に自生する常緑の広葉樹です。本州・四国・九州・琉球・朝鮮南部に分布します。樹皮からは琉球線香ができます。
 冒頭に述べた「ずんぐり」ですが、同巨木が根付く場所に原因があるようです。つまり、同岳の北側斜面に位置し、冬季の北風や台風時の強風をまともに受ける場所です。そのため、過去に先端部分が台風の被害を受けたようです。受けながらも枝葉を伸ばして、現在の樹形になったようです。その生命力には脱帽です。根付く場所にもよりますが、木々が高くなればなるほど試練が待っている台風銀座の八重山です。

松島 昭司

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