「致元と八重山古陶」展によせて

「致元と八重山古陶」展によせて

 5年前、「八重山古陶・その風趣と気概」と題して、市内の大濱信泉記念館にて、八重山焼の優品の数々が展示されたのをご記憶の方も多いと思います。これまでの定説であった、「八重山の焼物は重くて、釉薬が剥がれている粗悪品」との見方を根底から覆す、意欲的な展覧会に県内にとどまらず、全国的に反響を呼びました。さらに、沖縄本島で焼かれたとされていた多くの名品が、実は八重山で作られていたことを示す展示内容に、展示終了後も、多くの陶磁器愛好家・研究者の間で、熱い議論を巻き起こしているのです。
 このたび、那覇市壷屋焼き物博物館にて、沖縄本土復帰40周年を記念して「致元と八重山古陶」展が開かれます。八重山に初めて上焼(釉薬の掛かった陶器)の技術を伝えた壷屋焼の陶工、仲村渠致元(なかんだかり ちげん)に焦点をあて、致元の来島以後に八重山の焼物がどのように育っていったのか、八重山焼の特徴や、陶土、文化的背景なども含めて、豊富な作例と資料が展示公開されます。
 展示品・資料共に前回より大幅に充実しています。また研究者、陶芸家も招いての講演会、座談会なども開かれる予定で、実際に八重山焼きに触れる機会もあるそうです。
 那覇市でのみの展示で、八重山からは見に行くもの大変ですが、八重山の文化、焼物に興味のある方は必見。この機会にぜひ、八重山の古い焼物たちの持つ手応え、存在感を味わっていただけたらと思います。
[展示会場・期間]
那覇市立・壷屋焼物博物館 1・2階常設展示室
・1階会場 「致元と八重山古陶」 6月30日~8月26日
・2階会場 「沖縄古陶名品展 個人秘蔵コレクションより」 6月30日~8月19日
[入場料]
一般:315円 高大生:210円 中学生以下:105円 ※各種割引あり。[会館時間]
10時~18時(入館は17時まで)

宮良 断

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