巨樹・巨木との遭遇(16)クロボーモドキ群落

巨樹・巨木との遭遇(16)クロボーモドキ群落
巨樹・巨木との遭遇(16)クロボーモドキ群落

波照間島の白郎原御嶽(シサバルワー)の境内で遭遇した常緑のクロボーモドキ(バンレイシ科)の群落です。胸高の幹回りは、太いもので70センチですが、その多くが樹高約8メートル前後もあるスマートな木々たちです。
 今回は巨樹・巨木というよりも、波照間島と西表島のごく限られた場所でのみ群落を形成するクロボーモドキです。クロボーとは、リュウキュウガキ(カキノキ科)の沖縄方言です。葉がリュウキュウガキに似ているため、方言名がそのまま和名になったようです。台湾(蘭嶼)にも自生し、八重山が北限です。
 さて、前述の波照間島の白郎原御嶽ですが、同島では最も神聖なピィテーヌワー(原野の御嶽)の一つです。同ワーへは、日頃神司以外の立ち入りが固く禁じられています。しかし、年3回のミヤクツアイ(御嶽の中の神ヌ道を清掃する日)には、一般の方も立ち入りができます。
 昨年、旧暦10月壬申(みずのえさる)のミヤクツアイで、クロボーモドキの群落を訪ねました。革質でつやのある葉と、前述したスマートな幹の林立がそれと分かります。石垣島では、今のところ見つかっていない同モドキです。なぜ波照間島と西表島にのみ自生するのか不思議です。ちなみに西表島の群落は、字南風見(大原)・大保良田に整備された改良水田北方の琉球石灰岩のがけ一帯です。
 今回は、県レッドデーターブック掲載の絶滅危惧種に指定されたクロボーモドキの群落でした。

松島 昭司

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