民謡のふるさとたずねて

民謡のふるさとたずねて

四月二十一日、大底朝要研究所の一員として、第二十四回『民謡のふるさとたずねて』波照間島公演に参加しました。参加者は三十五名。私が旅公演に参加するのは、二〇一〇年の与那国島公演に続き、二度目です。
 演目は、波照間島で生まれた歌を中心に三部構成で行いました。一部は斉唱、独唱。二部は、踊り、ゆんぐとぅ、じらば、ゆんた。三部で再び斉唱と独唱、踊りと各島々の口説という構成でした。
 リハーサル中、ハッとしたことがあります。全員でゆんたを歌った後、客席で観ていた大底先生が立ち上がりました。
「ゆんたは、控えめに手拍子をして、綺麗に見えるように歌っているのでは、お客さんを引き込めないですよ。ゆんたは、農作業をしながら、自分と仲間のやる気を引き出す労働歌ですから、舞台で歌う場合には、お客さんが思わず一緒に手拍子をしたくなるような、お客さんを焚きつける元気がなければ面白くないですよ。だから、もっと豪快に楽しんで歌って下さい」。
 先生から八重山古典民謡への情熱がほとばしっているように見えました。私はやる気が焚きつけられました。思えば八年間、八重山古典民謡を続けてこられたのも、先生の持つ強烈な情熱に引っぱられてきたからなのです。
 本番では、客席から、自然と手拍子が起こりました。各島々の口説の際には、演者のユーモアたっぷりの動きを観て、お客さんも楽しそうに笑い、一緒に舞台を盛り上げて下さいました。
 翌日は、地元の方にご案内していただき、バスに乗って島めぐりをしました。世代を超えたメンバーで公演を行い、歌の発祥地をめぐり、一緒に勉強できる機会はめったにないことです。島の風景を思い出すと、そこに仲間の姿があります。
『民謡のふるさとたずねて』と題して、各島々をめぐる公演に、皆を引っぱってきて下さった先生の熱意に敬意を表します。そして、研究所の皆さま、この度も貴重な公演に参加させて下さり、ありがとうございました!

大塚 恵美

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