東京スカイツリーが世界でも一、二位を争う高層タワーなら、こちらは、負けじと世界一高いイリオモテラン。
過日に開催された西表西部地区診療所を退職した那根幸子看護士さんと星陽子事務職員さんの退職激励会にお披露目された。西表島にしか生育してないランから、イリオモテランと命名された幻の貴重な種。毎年三月から五月にかけて開花する、幻のラン。西表島の原生林の奥深い山林にひっそりと植生する。花弁に独特なほのかに紅色のまだら文様が、このランの貴重さを表現している。
成人男性の平均身長を優に越える一メートル七十センチ余りあろうこの高いイリオモテラン。会場からは、ため息と感嘆する声があちこちから聞こえた。
このランを育てた星公望さん(65)は、「祖父勲さんが三つに株分けした一つを二十年ばかり育ててきた。残り二つは、いつの間にか消滅したが、唯一残ったのが、私のひと株でした」と話してくれた。
イリオモテランは。自生する西表島で絶滅種になりつつあるラン。ほとんど見ることもなくなってしまったのだが、今回の感謝会に初登場。端正込めて育てたイリオモテランが、感謝会に正に華を添えることができた。
会場からは、オークションに出せば、時価百万はするであろうとの声も。ここまで世話をしてきた星公望さんは、全く意に介せず、ニコリと微笑むばかりであった。