ピーチパインの収穫を目前に控えた、西表島のアナナス農園。この日は住吉の畑で、パインの芯止め作業を行っていた。果実の上の葉っぱ、冠芽の芯を抜いて成長を止めることで、果実を肥大させる。果実と冠芽のバランスを考えると、早すぎても遅すぎてもいけない。見栄えにもこだわる正和さんは、何度も同じ畑に入り、それぞれの大きさを見ながらこの作業をくり返す。
お昼ごはんは、奥さんの由賀さんが毎日お弁当を作っている。作業の合間に、畑や車の中で食べることが多い。この日は、由賀さんと次男の李音くんが畑までお弁当を届け、つかの間の家族だんらん。おいしいお弁当を食べると、午後の作業もがんばれるという。
正和さんは、東京都出身。西表島のパインを初めて食べた時、そのおいしさに衝撃を受けた。アララガマ農園で働きながら、パインの作り方を学び、3年前に西表島アナナス農園としてスタート。ピーチパインをメインに、スナックパインやマンゴーも作っている。正和さんが畑作業全般をひとりでこなし、由賀さんは、受注・発送やHP管理などの事務作業を担当する。
アナナス農園では今年から、パインの日焼け防止のネットを果実だけに被せるという独自の方法を試している。この方法なら、収穫まで全ての葉っぱに日射しを当てることができるため、よりおいしくなると考えている。大きなネットを一面にかける一般的な方法と比べて、糖度、酸度にどれだけ違いが出るか、石垣島の試験場で実験してもらっているという。このネットは全て由賀さんの手作り。ネットを小さく切ってミシンで縫い、カラス除けの防鳥テープを取り付ける。それを正和さんが、一つ一つ丁寧に被せていく。時間も手間もかかる大変な作業だが、これが“おいしいパイン作る為の努力は惜しまない”というアナナス農園のスタイルだ。
「さらにおいしいパインを作るために、常に考え、工夫しています」と話す正和さん。今年のピーチパインは味、香り、食感、すべてにおいてかなりいい出来だという。収穫が楽しみだ。