「アンパルの自然を守る会」は、平成19年の台風13号の暴風により立ち枯れしたアンパル海岸林のモクマオウの処置を行政に要請していました。モクマオウは八重山地方の在来種ではなく戦後植林されたオーストラリア原産の外来種です。もともと陽光が常に当たる場所で育つ種で、密林化する亜熱帯地域の自然林で子孫を残せず、アンパルの海岸林の中でモクマオウの子孫が育っていないようです。さらにこの樹が他の在来樹種より背が高いために秒速60mに達したと言われる13号台風で頂頭部を吹き飛ばされてしいました。これが致命傷となって急速な枯れ死が進んでしまったようです。亜熱帯の密林という環境、台風がたびたび襲うという環境に在来種ではないモクマオウが適応できなかったのです。モクマオウが枯れ死し、景観を著しくそこなっているだけでなく、名蔵海岸、アンパル側や県道側に根こそぎ倒壊して危険な状態ともなっています。
枯れ死したモクマオウを除去して、八重山在来の樹種による海岸林を作る必要があります。しかしモクマオウは高木で、かつ非常に硬く、切り倒すことに骨が折れる樹です。ボランティアなどによる作業では不可能であり、専門的な技能を有する業者でないとできない仕事です。そのため石垣市は来年度のふるさと納税基金活用事業として採用し、モクマオウ抜倒事業を実施することになりました。
事業をする業者はどのような方法でモクマオウを切り倒し撤去するのか、切ったモクマオウをどのように処理あるいは活用するのかが問題となります。この事業の本来の目的はモクマオウを取り除き在来種の海岸林に育てていく事です。現在繁茂している在来の樹木を守りながら伐採する必要がありますが密林の中の困難な作業となりそうです。事業が業者に発注される前に、作業の方法、手順、予測される問題点などを洗い出してモクマオウの抜倒が結果として海岸林を壊してしまうというような最悪の事態にならにようにしなければなりません。100本はあるという枯れ死したモクマオウをどのように利用するのかも今後の課題です。