第22回 石西珊瑚自然再生協議会サンゴ礁基金による サトウキビ株出し栽培への農法転換を推進するプロジェクト〈2〉

第22回 石西珊瑚自然再生協議会サンゴ礁基金による サトウキビ株出し栽培への農法転換を推進するプロジェクト〈2〉
第22回 石西珊瑚自然再生協議会サンゴ礁基金による サトウキビ株出し栽培への農法転換を推進するプロジェクト〈2〉
第22回 石西珊瑚自然再生協議会サンゴ礁基金による サトウキビ株出し栽培への農法転換を推進するプロジェクト〈2〉

作物別に検討していくと、石垣島農地ではサトウキビが最も面積が広く、2番目に草地、水田と続く。以前赤土流出最大の発生源だった急斜面のパイナップル畑は減り、代わりに面積の増えた草地は常に草で表面を覆われているため赤土流出はほとんどない。現在全耕地面積の15%程度のサトウキビ夏植え1年目の畑からの赤土流出が全体の60%を占めると推定される。
 ここでサトウキビの栽培方法についてふれると、株出し、春植え、夏植えの三種類に分けられる。収穫時期はどれも同じだが、地上部収穫後残された根株からの萌芽をそのまま育てるのが株出し栽培、全部すき起こしてすぐ次の苗を植えるのが春植え、収穫後キビを植えつけず畑を空けておき、8月すぎに苗を植え2年間に1回収穫するのを夏植え栽培という。現在石垣島のサトウキビは7割程度が夏植えである。農家経済からすると植えつけ作業する必要がなく毎年収穫できる株出し栽培が最も有利である。1971年に環境残留性の強い塩素系農薬が使用禁止になり、ハリガネムシなどの土壌害虫の食害のため株出し栽培ができなくなり、現在は夏植え栽培の繰り返しが主流になっている(図2)。3年前に農薬登録されたベイト剤という新農薬により土壌害虫を効果的に減らすことで、夏植え収穫後に続けて株出し栽培ができるようになった。畑を半年間裸地状態にする夏植えに対し、株出し栽培では常に畑表面が前作の葉ガラでカバーされるので赤土流出が夏植えの10分の1になる(図3)。
 石西礁湖サンゴ礁基金では数十年間不可能だった夏植え収穫後の株出し栽培を試みる農家に対し、株揃え機使用料10a当たり3500円総額42万円の支援を行った(図4)。株揃え機はキビ収穫直後に株を地下5cmの深さで切り戻し、同時に溝を作り、溝の中に肥料と農薬を入れる機械で、収穫で忙しいキビ農家が株出し栽培に踏み切りやすいようオペレーター込みで支援する。
 今年は八重山糖業技術研究会とともに22圃場1385aで支援した。次期収穫では続けて株出し栽培を行おうとする農家を中心に50万円程度の金額で連続㈱出し栽培に支援を行う予定である。

アンパルの自然を守る会 千川 明

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