アンパルの保全と賢明な利用などについての連絡会」は、アンパルの海岸林の問題点についてこれまでに何度かの現地観察会を通して共通の認識を持ってきました。昭和30年代にモクマオウ(オーストラリア原産)は成長が早いという理由で海岸林とし植樹されてきました。しかし50年以上経過した現在、毎年の台風の影響で頂部が折損し立ち枯れと根こそぎの倒木により無様な姿をさらけ出しています。西表石垣国立公園区域内の名蔵湾とアンパルの景観を台無しにしているのが現実です。
干潟の観察会やオカガニ観察会、清掃などで訪れるたびに、毎回この無残な景観に遭遇させられます。ひっくり返りむき出しとなった根っこは、歩行者の妨げにもなっています。しかしフクギなどもともと石垣にあった樹木が植林された同じアンパルの他の場所は立派な海岸林となっています。名蔵小橋と名蔵大橋の間の砂州は民有地(石垣島製糖)のため、伐採や新たな植樹のためには別の法的手続きが必要となるそうです。
近い将来、この区域に新たな植樹の必要性があるため、島内他地区の海岸林はどの様な状態にあるかを知るために、9月7日海岸林ツアーを実施しました。石垣島エコツーリズム協会会長、アンパルの自然を守る会アドバイザーの谷崎樹生氏が案内役を引き受けてくれました。観察した場所は (1)アンパル小橋南、(2)名蔵大橋南、(3)崎枝南、(4)御神崎マリンビーチ、(5)ネバル御嶽の海岸林、(6)磯辺地区農地防風林。
(2)と(5)は島の在来種で自然度の高い海岸林であると説明されました。他の4箇所は植林事業が施工されている場所で、防風ネットや支柱柵に囲まれた中に、複数種類の木々が植林されていました。配布資料によると植林の事業費は面積と植林数にもよるが、1800万円から1億1000万円となっていた。今後アンパルの植樹をどの様にしていくか参考になったツアーでした。参加者は保全連絡会構成団体より26名でした。