カンボジアに助産施設を建てよう

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トゥールスレン虐殺博物館

 トゥールスレン虐殺博物館に行く。具合が悪くなった。私はあまりこの歴史のことを知らなく驚きのあまり声が出なかった。何が一番驚いたって、28年前までこの虐殺が行われていたと言う事。28年前と言えば私は12歳。中学一年生だ。歴史や学校でこれを習ったのだろうか? この時、日本はこのような虐殺をしていたとは知らず、ポルポト政権をなんと! 応援していたそうだ。後に事実を知り、この件に関して日本政府は口をつぐんだそうだ。
 ポルポトは200万人もの同国の人たちを殺した。自分が天下でいたいがために。特に医者や科学者政治家等、特別な知識がある者は邪魔者だった。
 殺し方がものすごくえぐい。子供は木に頭をぶつけて殺す。医者や反政治家は独房に入れられ鎖でつながれなぶり殺しにあう。それがそのままこの博物館に残っている。死人の写真が壁に飾られ、私たちが歩く床には血の後がそのまま残っている。この収容所にはものすごい怨念があるようで背筋がぞっとした。骨もたくさんある。骸骨も並べてある。
 ふとみると白人が骸骨や独房や静止できない程の絵と写真を、ビデオに収めたりカメラに収めたりしていた。私は何か残さなくてはと思い、それでも2、3枚の写真を撮るのが精一杯だった。日本人の我々は輪廻転生を信じ、白人はこの世は一度きり、という考え方の違いがそうさせているのだろう。同じ人間、しかも同じ国の人間が殺しあう。そこには殺すほう、殺されるほう、どのような感情がめぐり合うのか私には想像がつかない。
 私たちといつも同行してくれている男性がいる。彼は少年兵だった。年齢は12歳のときに銃を持ち、言われるがままに、次から次へと罪も無い人間を殺していった。そうしないと自分が殺されるからだ。そして彼は今、私たちと一緒にボランティアに奮闘している。この国を立ち上がらせるために。

Love Wings 米盛 佳織

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