巨樹・巨木との遭遇(7)

巨樹・巨木との遭遇(7)

イタジイ

 於茂登岳(526メートル)の登山道約4合目に根を下ろすイタジイ(ブナ科)です。胸高の幹回り4メートル70センチ、樹高約10メートルの老年期を迎えた巨木です。
 於茂登岳は、県内の最高峰として登山者の絶えない山です。また、新日本百名山にも選定され、日本列島最南端の山として県内外からの登山者も増えつつあります。ところが、2010年10月の記録的豪雨による土石流で登山道の一部が決壊したため、昨今は、関係者以外の入山禁止のお布令が出ているようです。
 さて、イタジイは、スダジイとも呼び、亜熱帯原生林が繁茂する山々の極相林です。極相林とは、簡単に言えば、最終的に山々の緑を形成する高木樹種のことです。オキナワウラジロガシ、タブノキ、モッコク等々もそれに当たります。発芽・成長において、先を越された2次林をその内に追い越し、最終的には、それらが山々の緑を代表する木々に成長するわけです。
 ところで、同イタジイの樹齢は定かでありません。もちろん、優に100年は超す巨木です。しかし、冒頭でも述べたように、老年期を迎えたイタジイです。太い幹の心材は既に朽ちて空洞化し、外皮を含めたわずかの厚みで巨体を支えています。
 これまで、多くの登山者を迎えた4合目の番人・巨木イタジイです。付近でヨナグニカラスバト(ハト科)を確認したのが3年前でした。

松島 昭司

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