アンパルの自然を守る会初代会長(現共同代表)の島村修先生が、この一月に南山舎より上梓された「島の自然を守る」を紹介します。
この本は、先生が長年に亘って理科教育に注いでこられた情熱と研究、そして八重山の自然保護運動の先頭に立ってこられた活動を、先生自らがまとめられたものです。
本書は、第一部「島の自然を守る」、第二部「八重山の自然と私」、第三部「島の調査報告など」、付録「私の活動履歴」で構成され、八重山で小中学校の教員を長く務めてこられた先生の語り口は平易で説得力があり、読者を島村ワールドへと引き込んでくれます。
第一部では、石垣新空港建設地選定における「白保のサンゴの海の保護」の重要性を訴える活動、白水ダム建設に関する「白水谷の保全」とその下流に位置する「アンパルの保護」のためのダム建設反対の運動、そして「アンパルのラムサール条約湿地への登録」推進運動など、その時折に新聞や雑誌に投稿された記事が展開されています。
第二部には、生まれ育った波照間島での生活の中で身に付けた自然と共に生きる術、天体の観察、野鳥の習性、生き物の捕獲術などなど、現在の私達には想像も出来ない様なお話が満載です。中でも、カラスとの対決や、ウズラの捕獲法、圧巻はヤシガニのお話で、生活の中での貴重な食糧として、その生態や捕獲法、また料理の仕方まで、生き生きと描かれています。
しかし、読み進んで行くうちに、このような島の情景というものは最早先生の記憶の中にしか存在しない事に気付かされます。この八重山の自然のかけがえのなさを痛感させられます。先生が力説されている「八重山の自然は危機に瀕している」ことが実感できます。
「アンパルの自然を守る会」では年に数回自然観察会を実施しており、島村先生から直接お話しを聞くことができます。島村先生の年齢を感じさせない張りのある力強い声、ジェスチャーを交えたお話の数々は、私たちを魅了します。この島がもっと好きになれると思います。ぜひご参加ください。