シジミというとどんな貝を思い出しますか。多くの人はスーパーなどで売っている一番小さな二枚貝を思い浮かべるのではないでしょうか。ところが、奄美以南の河口や湿地にはシレナシジミという日本最大のシジミがいます。大きなものは殻長10cm以上になります。残念ながらこの貝の中身は5%ほどしかなく、地元では食べません。アンパルにもこの貝は生息していて、マングローブ林の中を歩くと、泥の中にいるのを見つけることが出来ます。研究のきっかけは、泥を歩いていると、殻長が70mmを超えるものが泥の上で潜らずにいるのを見かけますが。なぜ大きいのは潜らないのだろうという単純な疑問でした。そこで研究している人や機関に聞いてみましたが、この貝のことはよくわかっていないとの返事だったので、自分たち(生物部)で調べることにしました。最初は単純に「大きくなると殻が重くなるので潜れなくなる」と考えて大きさや体重を測定し、成長に伴う体重の変化を調べました。しかし、殻と中身は同じように成長していて、結局はっきりとした答えは出ませんでした。調べている内に、ノコギリガザミがこの貝を捕食するという話が来ました。そこで、ノコギリガザミの巣を探してみると、大きな穴が開いていて、巣の前の土には割れた貝殻が散乱していました。この貝殻を拾ってきて推定殻長を求めると、何と50mm~70mmになりました。つまり70mmを越えるとあまり捕食されなくなると考えられるので、原因の一つとして捕食圧が減ると貝はあまり潜らなくなると推察しました。野外採集では、ノコギリガザミの巣は深くてガザミの捕獲は出来ませんでした。そこで、室内実験でガザミが本当にシレナシジミを捕食するのか調べています。現在2例ですが殻を割って食べていたので捕食することは分かりました。今後はガザミの大きさとシジミの殻長の関係を調べて行きたいと考えています。(続く)