島の貨物の出入口、石垣港のターミナルビルの2階には食堂「みなとばいてん」がある。ここはお昼時間になると、ごはんを食べにくる港運会社や近くのセメント会社のみなさんで賑わう。八重山そば定食、生姜焼き定食など15種類ほどの定食がある。そばにはお米、ごはんものにはそばもつくので、力仕事のみなさんにはぴったりのボリュームあるお昼ごはんだ。みなさんのお腹を満たす食事を作るのは、20年ほど前からここを切り盛りする上田信さん。注文が入ると、カウンター奥の厨房で、手際よくごはんを作る。料理するのは信さんひとりなので、顔なじみのお客さんたちは、できあがったそばに薬味をのせ自分で運んだり、食べ終わった食器を洗ったりと信さんを手伝っている。今は食堂がメインになっているが、代々受け継いできたみなとばいてんは、その名のとおり初めは売店だったそう。軽食や客船が出航する時に投げるテープなどを売っていたという。テープを投げる事が廃止され、客船の数も限られてきた20年ほど前から、港の近くで働くみなさんのお昼ごはんを作っているそうだ。明るく元気な信さんは常連のお客さんの人気者。夕方のみなとばいてんでは、仕事の終わったみなさんと一緒にお酒を飲むこともあるという。「みんな残さずきれいに食べてくれるからうれしいね」と信さんは笑顔で話していた。