八重山のすぐりむん(特産品)未来への活用法(11)

躍動(2)、タイムリミットはすぐそこ

 新年明けましておめでとうございます。私は牧場があるので、元旦もいつものようにお仕事です。実家を離れて4年のブランクの後、島で牛を飼い始めて5年目が始まりました。つまり「年中無休」も5年目突入です。好きなことをやっているので気にはなりません。たまに肉体的にきついなとは感じますが、若いうちの苦労は買ってでもしろという言葉を信じて頑張っています。
 西表島に移住して1月で丸9年、そして10年目の年が始まります。19歳で移住してもうすぐ29ですが、若い人が島に居つかないので周りを見回すとあのときのまま未だに最年少です…。
 移住した当時、まだ新石垣空港の建設運動の最中でした。とりあえず、「空港をつくろう!!」的なムードが漂っていました。その当時は観光客もうなぎ昇りでしたし、ちゅらさんブームも後押ししていましたね。私は「国際化しないなら新空港なんて意味がない」という発言をし、まわりの人に叱られたのを覚えています。
 8年経って、今の観光客は平均15%近くが台湾から。新石垣空港の国際ターミナルも最近になってようやく確定したようです。12月には与那国島の中学が県内で初めて台湾修学旅行を実現しました。これからの観光、海外観光客受け入れは必須です。双方の交流ができるように今のうちにソフト面での対応も必要ですね。
 その新石垣空港の開港予定まで2年半を切りました。皆さんは何か対策を立てていらっしゃるのでしょうか? 昨年があっという間に過ぎたように、これからの2年半もあっという間に過ぎるでしょう。新空港開港で万事が良くなると考えている人が多いのには驚きです。努力を何もしないで万事が良くなるということはありえません。新規のお客様、あるいは海外のお客様をいかに満足させてまた足を運ぶように気持ちよく送り出せるかは郡民一人一人の努力にかかっていると思います。
 以前タクシーに乗ったときに西表に住んでいると伝えると、「あんな何もない島で楽しいか?」と言われたことがあります。ビックリしました。本来、空港に着いて一番最初に対面するのがタクシーあるいはバスの運転手です。本来なら石垣や周辺の島の名所やお勧めのポイントなどを進めるのが仕事ではないでしょうか。ネガティブなことを言えば、何も知らない観光客は「やっぱりあの島は行かないでおこう」といった行動に走ります。そしてそれは満足度の低下につながるのです。
 今回は特産品の話とはちょっと逸れましたが、お客様に来ていただかなくては特産品も売れなくなるので裏方製造業者にとっても一大事です。
 新石垣空港開港に向けて、観光に携わるものだけでなく私のような裏方製造業者も意識を180度変えて取り組む必要があるのではないでしょうか。「灯台、元暗し」、八重山には素敵な場所や行事がたくさんあります。皆がそれをアピールできるように、今から島々再発見の旅に出てみませんか。

崎枝 百合香

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