石垣島在住の写真家、西野嘉憲さんは、2000年より、石垣島の海人と海の取材、撮影を始めた。取材に専念し、より深い知識、理解を得るために、2005年には石垣島に移住したという。西野さんが10年かけて完成した「石垣島 海人のしごと」には、八重山の海で活躍する海人の姿と20種類の漁法が、季節ごとに写真とドキュメンタリータッチの文章で綴られている。本書の取材を始めるきっかけとなったウミガメ漁を含め、今ではほとんど行われなくなった漁法も紹介されている。
海人とのつながりを大切にし、実際に漁に同行することで海への理解が高まったという。「本書を通して、八重山の海人の仕事や漁の様子を知ると同時に、彼らの自然と共に暮らす姿から『命と向き合うこと、自然によって生かされていること』を学ぶことができるはず」と西野さんは話す。同書は、海に生きる海人の生き方を通して、様々な角度から命、自然や環境問題について考えさせてくれる1冊となっている。西野さんは、今後も、ライフワークとして「自然と人の関わり」をテーマに写真を撮り続け、自身の写真を通して読者をはじめ、多くの人にその想いを伝えていきたいと話した。