補助員たちのインターハイ

駐車場係の一期一会

悲願のインターハイ出場を果たした八重山高校と、全国にその名を轟かせた浦添工業高校。連日県勢の健闘が光ったレスリング競技が先日大成功をもって幕を閉じた。その大会運営の手となり足となり活躍したのが地元高校生補助員たちだった。私は大会役員として駐車場係を担当することになった。
 会場の顔である駐車場係。「試合を観に来る人を気持ち良く迎えられるように」と、連日の炎天下にも負けずに、生徒たちは早朝から夕方まで紅白旗を振り、声を出し、おじぎをくり返した。そんな一生懸命な生徒たちの姿に、挨拶を返してくれたり、声をかけてきてくれる方も多くいた。生徒たちは、この日のために来島した人たちとの、ほんの小さなやり取りを喜び、大事にしている様子が、休憩中の会話からこぼれていた。中には、挨拶をきっかけに顔見知りになり、毎日のように会話を交わすことが楽しみになっている生徒もいた。
 暑い中での仕事に、やりがいを見つけ一生懸命に働く生徒たちに、突然のご褒美がやってきたのは大会3日目だった。毎日顔を合わしていた(応援にきた保護者であろう)方から、アイスの差し入れをいただいたのだ。驚きながらも嬉しそうな顔が印象に残った。
 素直な生徒たちの素直な行動が、見ている人や接する人の心に伝わっていた。そう感じる出来事だった。彼らにとっては、競技はもちろん、全国からやってきた人々との一期一会を体感できたインターハイだったことだろう。
 14年前、沖縄県は全国高校総体の地元開催を見送ったと聞く。当時の私と同じ歳の、日に焼け紅白旗を持った生徒たちがたくましく見えた。

波照間 督起

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