お日さまとレコード

お日さまとレコード

炎天下の出来事

むかーし、幼稚園の先生をしていました。石垣島の真ん中辺り、パイナップル農家の子ども達がほとんどの幼稚園です。赴任して二年目に公立認可、小学校の敷地内に園舎が建てられました。運動場も共有です。学芸会も運動会も小学校と一緒に行いました。
 ある時、運動会に向けておゆうぎのお稽古をしていました。当時はまだレコードの時代。ヤマトゥの幼稚園での助手時代に覚え気に入っていた遊戯のレコードは、私物でした。ポータブルプレイヤーを運動場の草の上に置き、ボリュームをいっぱいにしての練習です。一クラス一人の職員。何役もこなさなければいけない私は、プレイヤーを操作し、見本を踊って見せ、園児の手をとり足をとりと、炎天下で大奮闘でした。ひとしきり動き回って気が付くと、あら大変、レコード盤がフリルのように波打ち、見事に変型してしまっているではありませんか!「犯人はお日さまだー」子ども達と一緒に叫びました。自宅に持ち帰り、家人に訊きました。お湯に浸けた後、二枚の板でサンドイッチにして圧力をかけたりしました。結局使い物にならず、石垣のレコード店にも置いていない当レコードを、那覇まで渡って購入したのでした。
 最近の音源再生装置の進化ぶりと全天候対応の体育館の時代には、昔の話。
○卒園の記念写真に二十五の我が教え子ら皆笑みており

大川 安子

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