グラジオラスとューリップ

グラジオラスとューリップ

なんだ、トッピンか  

高校生の時、新潟県の方と文通をしていました。新潟はチューリップの名産地です。ある時、チューリップを見たことが無いという私に、球根を送ってくれるというのです。グラジオラスもあるけど、どちらをと聞いて来ました。目移りしてしまった私は、グラジオラスを送ってもらうことにしました。聞いたことの無いカタカナ文字に魅かれました。一体どんな花なんだろう。間もなく送って来た球根を、広い庭のある黒島の我が家に植えました。夏休み、冬休み、帰省するのが楽しみでした。何ヶ月か経って一メートル程に生長した花を見た時、あら、と思いました。薄いピンク色のその花は、上品な感じで白砂の庭にスックと立った姿は都会の美人然としていました。しかしよく見ると、葉の形といい、独特の花の咲き方といい、石垣の野山にふんだんに咲いている、真っ赤な色のあの花ではありませんか。トッピン。…何だ、グラジオラスって、トッピンのことだったのね。何だか騙されたような気がしましたが、無知だった私が悪いのです。
 その後私が本物のチューリップにまみえたのは、その三年ほど後、ヤマトゥに進学してからでした。○デイゴ赤、仏桑華赤、カンナ赤 南国に咲く花みな赤くて

大川安子

この記事をシェアする