仕分けすべきこと

自民党から民主党への政権交代は長期政権の膿を出すのに一定の効果をあげている。
 沖縄返還にともなう密約などその例であろう。
旧政権下での黒い霧を解明しなければならないのに、新政権は基盤が固まらないうちに自滅するかのようである。
あだ花かもしれない。
 普天間問題や小沢問題など閣僚の発言を聞いているとだれが総理大臣かわからない。
これでは、検察を中心とする新政権崩壊を目論む国策捜査などに対抗できまい。
エダノやらレンホウやらがミィーピカラシィ(眼光鋭く)フチィバトゥガラシィ(口を尖らして)「言い訳ばかりしている」とア
ダーシィ(叱って)いるのを見ていると、聞く耳持たぬ悪代官である。納税者の立場に
立って無駄を省くという目線、独立行政法人の統合廃止や民間移譲など共感する部分も
あるが。しかし、数値やにわか仕入れの情報で即決されては困ることだってある。数値で示されない価値だってあるのだ。
 仕分けを見ていると、潤滑油のないギスギスした窮屈な、たそがれニッポンを感じる。無駄を省くというのが、事業仕分の目的とすれば、なぜ内閣官房費報償費(機密費)に切り込まないのか。
 自民党政権下で内閣官房報償費、いわゆる機密費は公開されずでたらめな使途が会計検査院からも指摘されている。昨年、自民党が選挙で大敗した翌日、河村官房長官が二億五千万円という巨額の官房報償費を持ち出したい使途不明金など旧政権下の巨悪に立ち向かう気配などまったくないようである。
その機密費が流れ流れて南西諸島への自衛隊配備計画の地均し工作や反自衛隊市長潰し、石垣市長選挙工作費に使用された可能性はないのか。
黒い霧の彼方に巨悪な妖怪が高笑いしているかもしれない。
 権力が情報操作をするのは当然だが、テレビや新聞などマスメディアに登場し、政府や自民党政権の肩を持っていた胡散臭い評論家には内閣官房機密費から五百万円の手当が配られていたと野中広務元官房長官が証言した。(共同通信・琉球新報)。
 おそらく、日曜日の朝のテレビに度々登場し日米同盟や旧政権を称賛し、イラク侵略を肯定し、北朝鮮や中国脅威論をあおり、
憲法改正を強調しているオオカミ評論家や居酒屋政談以下なのに国際政治学者などと称してもったいぶっている者であろう。
 ホームレスや路上生活者を人生の敗北者と言わんばかりの発言を繰り返している連中に、税金から盆暮れの贈り物がされたと聞
くだけで頭に血が上ってくる。
新築したので三千万を要求されて届けたというに至っては開いた口がふさがらない。馬鹿にするにも程がある。野中によれば多いときで月七千万使用したという。
金銭感覚の欠如は政治屋なのである。納税者の立場というなら、くたびれて立ち上がりそうにないのに「立ち上がれ日本」などという政党やら、自民党の顔といわれ、次期総理とまで言われながら、獅子身中の虫が出てすっきりしたといわれ、政策が違う連中と手を結ぶまで落ちぶれた舛添要一の新党改革などが助成を受けられることもおかしいのではないか。
政党助成法による政党交付金を受けられる条件は国会議員が五人以上である。舛添が政策の違う立場の人たちと野合したのは政党助成金欲しさからであろう。
自民党の比例候補で当選したのに離党するならば出直しのため辞任すべきである。にもかかわらず詭弁を弄し居座り、政党交付金目当ての政党
結成など有権者を馬鹿にしている。
 ちなみに平成十年の政党交付金は三百十一億余円である。政治献金を制限するために設けられた政党助成法が、政治活動を制限しないというのは当然だが、納税者の目線をいうなら助成金に無駄使いはないのか。
永六輔が〈政治家って、どこかで国民はバカだと思ってませんか。そうとでも思わなきゃ政治家やっていられないでしょう〉(週刊金曜日無名人語録)と強烈な皮肉を浴びせている。仕分人は政党助成法こそ仕分けすべきである。そして自らも。

大田 静男

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