西表島のキビ刈り援農隊

つながり

キビ刈り時期、全国から集まるボランティアの援農隊は、インターネットや雑誌による募集ではなく、口コミによって毎年受け継がれてきている。去年キビ刈りに参加した若者数人が中核となって、秋頃から「来年も西表に行こう」と仲間たちに呼びかける。そうすると、呼びかけられた仲間はそれに応じ、さらに自分の友達や後輩を新たに誘ってくるという、実にアナログ的なつながりが活かされているのだ。逆を言えば、キビ刈り時期に生まれた友人関係が、それ以降もずっと濃密なまま在り続けているということになる。今年も援農隊に来た学生は、「また色んな人とコミュニケーションを取りたかったから」と新たな出会いを期待し、島にやってきた。初めてキビ刈りに参加する人も、リピーターとしてやってくる人も、一人一人が皆、それぞれの想いを持って西表に来る。
「西表島農家援農環境ネットワーク」に集まる若者たちに、オリエンテーション時に次のような説明をしている。「キビ刈りほど、みんなが一緒に汗を流し、人と人が出会い、交流することで、想像も出来ないようなパワーが生まれる場所はない。思いっきり体を動かし、泥んこになる事をいとわず、叫び声をあげながら自分が自然の中で生きるひとつの生き物に過ぎない事を実感し、この地域の自然なくして自分がありえない事を知る。そして交流の中から生まれる社会性、それは環境であったり、平和であったり、あるいは福祉へといきつく」と。
 それを如実に現すように、若者たちの、島で生まれるエネルギーは計り知れないものがあり、それが毎年人とのつながりによって持続されている証が、「キビ刈り援農隊」ではないだろうか。
 次回のキビ刈りではどんな出会いが生まれるのか、楽しみでならない。

中新井節子

この記事をシェアする