西表島のキビ刈り援農隊

西表島のキビ刈り援農隊
西表島のキビ刈り援農隊

隊員の声

「仕事終わりのビール飲んでる時が幸せ!」。彼女は、日焼けした顔をほころばせて言った。これは「キビ刈り援農隊」に参加している女性の言葉だ。彼女は、学生時代にキビ刈りに2年連続で参加、そしてその後、OLとして社会に巣立ったものの、数年で仕事を辞め、再びこの島に戻って来た。今回は、学生が大半を占める援農隊の中で、社会人として援農に加わっている彼女に話を聞いた。
 まず、なぜ内地で社会に戻る道を選ばす、この島に舞い戻って来たのか。それは「会社で働いている時はがんじがらめの暮らしだった。それが嫌だった訳ではないけれど、何か物足りなくて…」。続けて、「島の人たちは、畑の事だけでなく、山や海の事も知り尽くし、自分の力で生きている。そのたくましさ、知恵を学びたかった。ここは、“生きている”という感覚を直に感じられるから」。オフィスでは得られないリアリティを求めているのだろう。「キビ刈りの時は、朝早くに起き、畑で汗かいて、夜はお酒を飲んで語り合う。島の暮らしはシンプルだからこそ、大切なものが見えてくると思う」。彼女は将来、この八重山で生きていきたいと言う。援農隊に参加し、島人の暮らしを知るにつれ、その気持ちが高まったという。彼女にとって、援農隊とは?という問いに「生き方を学べる場」と一言。
 将来を模索している彼女に、援農隊を組織する私たち「西表島農家援農環境ネットワーク」は何ができるか、それは“感じる場”を提供することだけだ。今年のキビは豊作で、キビ刈りも終盤を迎えているが、彼女の自分探しへのチャレンジは始まったばかりだ。「援農隊」が、彼女のこれからの人生で、次のステップへ繋がる大きな一歩となってくれることを願わずにいられない。

中新井 節子

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