哀れモクマオウ

哀れモクマオウ

台風十三号の置き土産

二〇〇六年の台風十三号で、壊滅的な打撃を被ったモクマオウの哀れな姿です。名蔵川砂州の北西波打ち際に、巨体をさらしています。最近にない大被害をもたらした.同年九月の台風十三号です。その置き土産は、現在も各地に点在していますが、ここ、名蔵川の砂州は甚大です。殊に、林立していた巨木・モクマオウの被害がそうです。かなりの樹齢と推測される巨木が、軒並みの被害です。倒木を免れた巨木も枝葉をもぎ取られ、立ったままで枯死しています。そして、二〇〇七年の十三号・十五号に追い討ちを掛けられた名蔵川砂州の防潮林です。
 今や人類は、持てる機械力を駆使し地形を改変するすべを得ました。しかし、自然現象(台風)を制御するすべはいまだ持ち合わせていません。もっとも、台風の発生から進行方向の予測が関の山です。
 広大な太平洋の西端に浮かぶ私たちの八重山諸島です。その位置的な宿命ゆえ、いにしえから先人たちを、否、今も私たちを苦しめている台風です。そして、近年大型化の傾向にある台風です。もしかすると、地球にとっては身中の虫になりつつある(否、既に)人類の傍若無人な振る舞いに対する、自己防衛の浄化作用かもしれません

松島 昭司

この記事をシェアする