西表島のキビ刈り援農隊(1)

西表島のキビ刈り援農隊(1)

若者が求めるもの

今、西表島ではサトウキビ収穫の真っ盛りである。この時期、島の東部地区はどこか華やいだ空気に包まれている。それは、収穫の喜びもさることながら、各農家で働くアルバイトだけでなく、全国各地からボランティアで集まる「キビ刈り援農隊」の存在も大きく影響しているだろう。今月から、私がサポートしているこの援農隊について紹介していきたいと思う。
 西表島のキビ刈りは、キビ倒しから哨頭部と葉柄を取り除く「かさぎ」まで、総ての工程を手作業で行っている。それ故、高齢化した農家での人手不足が生じ、さらに、それにより、ゆいまーるが失われてしまった。それを補うため、また島の活性化に繋げようと島の有志達により九四年に発足されたのが「西表島農家援農環境ネットワーク」であり、そこが、前述した援農隊の受入れをしている。この援農隊には、今年は約四〇人の若者(大半が学生)が各々三週間にわたり滞在し、一つの宿に寝泊まりしながら、毎日各農家に割り振られて作業を行っている。
なぜ、都会からこれ程までの若者が集まるのだろう。この彼らを見ていると、日一日、活き活きとしてくるのが分かる。作業が上達してくると達成感だけでなく、農家のために働きたいという使命感、島人との何気ないコミュニケーションによって島への愛着も沸いてくる。さらに隊員同志、価値観を認め合うことで繋がりも生まれる。アスファルトではなく土の上に立つということで、あらゆるいのちの循環にも改めて気付かされる。援農隊に集まってくる若者は、これらを糧として求めているのではないだろうか。
 西表をはじめとする八重山の皆さん、今日も畑で汗と泥にまみれ、そして何より島人とのふれ合いを楽しみにしている援農隊の若者に、熱いエールを送っていただけたらと思う。

中新井 節子

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