寒緋桜

ユースの島唄

学生時代に東京の神田川付近に住んでいて、春になると川沿いに咲く満開の桜をよく思い出します。大学までの通学路には少し遠回りになるのだけど、川沿いの歩道をわざと通り、桜並木の下を花見がてらに歩いていました。初めて見る桜の色にすごく感動して写真を撮りまくり、散ってゆく花びらが奇麗すぎて上を向いて歩いていた覚えがあります。さらに散った桜が川に落ち、桜色に埋め尽くされた川がこれまた奇麗で感動していました。
 学生時代も終わり、島に帰ってから桜が見たくなり、今は亡きじいさんの家の東側に桜があったなと見に行ったことがあります。しかしそこにあったのは寒緋桜。わかってはいたのですが、その色が思っていた以上に紅くてさらに感動してしまいました。空の青と桜の紅のコントラストがこれまた奇麗でした。
 話は変わるのですが、昨年の同じ時期に仕事で関わっていた不登校児達による卒業パーティーがありました。そのパーティーは子どもたちが自ら企画運営を行い、その中の余興で歌う機会がありました。そこでひとつ卒業っぽい曲を作ってあげようと思い、材料を寒緋桜にしたのです。
 高校時代に友人と寒緋桜の話をしていたことを思い出し、「卒業式まで咲いているかな」なんてことを話していた気がします。しかしながら曲は間に合わず、未完成で披露することが出来ませんでした。この子達が大人になって聞きに来てくれたらうれしいな。

前花 雄介

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