島木

島木

≪生活の中の島木≫
 挽物に使う島木は、主にヤラブ・リュウキュウマツ・センダンの3種類。
昔はドゥスンも使われていたが、現在はこの3つが多くあり手に入りやすく、その中でも一番活用されているのがヤラブである。
ヤラブはお椀などの食器類を作るときに使われ、リュウキュウマツとセンダンは皿やおぼん・家具類などの材料に適している。
復帰以前は、家具・食器類は100%と言っていいぐらい島木が使われていた。
仕事で使う事務テーブルなども手作りの島産のもだった。
しかし復帰の少し前からベニヤ板が入ってきて、家具屋やぎりぎり屋の状況が変わってきた。
ベニヤ板を使ったタンスが出てきて、プラスチック製の食器が使われだし、本土からは既製品が安くで大量に入ってきた。
きれいな仕上がりの本土からの既製品が流行って、島木の製品は値段も高いので敬遠されていった。
当時、家具屋は登野城から新川まで30店近くあり、注文を受けて家具を作っていた。
復帰後は島木を使ったもの以外にも注文があれば、ベニヤを使った製品も作るようになったという。

≪島木の有効利用≫
 最近はお祝いの引き出物などで使われるようになり、また新築するときの材料としても見直されている。
今は1本の木を幹から枝まで輪切りにして有効利用している。
原材料の無駄がなくなったのである。
(昔は製材するので利用できたのは50%ぐらいだった)
切り口の大きさに応じて、作るものも茶托であったり皿・お椀・菓子皿と多種多様。
形も一つ一つ違うが、それが個性を出している。
今の製造方法でいけば原材料の島木は足りるらしいが、開発などでそのまま倒されるものの多い。
国産材を有効利用しようという行政からの補助事業もあり今では島木を見直す動きも見られるが、これからの一番の問題点は後継者育成だろう。
職人の技を継いでいく必要がある。
挽物を手にすると何ともいえないあたたかさを感じる。
八重山の大地で育った島木には愛着があり、ぬくもりがあり、なじみがある。
個性のある島木はこれからもどんどん活躍していくだろう。

≪ギリギリ≫
 八重山ではギリギリ、沖縄ではヒチムン、日本語ではヒキモノ。
昔、足踏みで回転させて遠心力を利用して削るとき、「ギリギリ、ギリギリ」と音が出た。
この音から「ギリギリ」と呼ぶようになったという。

【メモ】
 挽物には、ガザムネー(がじゅまる)、アッカン(あかぎ)、タブ(たぶのき)、ユーナ(おおはまぼう)、漆器には、ズグ(でいご)トゥカナジィ(はすのはぎり)が用いられていた。
器具材には、マチィ(りゅうきゅうまつ)、アッカン、シィーニなどが用いられ、擦り臼、搗き臼、杵、トーニ(豚の飼料桶)などが作られた。
家具材には、ヤラブ(てりはぼく)やシンダン(せんだん)が用いられていた。
農具用材には、マチィ、アッカンはクルバシャー(水田整地用器具)に、アディフ(あでぐ)、トゥカージィ(しゃりんばい)、トゥノーキー(あかてつ)、ダシィケー(しまみさおのき)はウシィヌヤマ(和犂)の骨組材、鍬、ヘラなどの農具の柄に用いられていた。

やいま編集部

この記事をシェアする