世界に開かれた八重山の大学を

世界に開かれた八重山の大学を

去る4月13日、昨年に引き続き、今年もトライアスロンのワールド大会が開かれ、多くの外国人選手が訪れた。大会前日の石垣市民会館前には外国人選手や関係者で賑わい、沖縄本島のように外国人がいないこの島らしくない雰囲気が漂っていた。
しかし、八重山の子どもたちもたくましい。
わずか数日間滞在の選手らに対し、中学生や高校生たちは臆することなく、カタコトの英語で交流にチャレンジしては記念写真を撮って回っていた。
ボーダーレスの時代に八重山に大学ができれば、それこそ国際化現象は大きな波となってやってくるだろう。
そして本土のみならず、台湾、中国、フィリピン…など、アジアの国々を中心に門戸を開いた大学へと発展してほしい。
おとなり台湾よりも彼方に位置する東京からここ八重山に人間がやってくることを考えれば、国境線の問題如何によってはアジアの学生がやってくる場面を想像することだってできるはずだ。
そしてもうひとつ、これは決して高校卒業者などの引き止め過疎対策などといったものだけにとらわれてほしくないという思いがある。「かわいい子には旅をさせろ」の言葉どおり、子どもたちはむしろ八重山から大きく羽を伸ばし、世界を見てくることを勧めたい。そしてひとまわりもふたまわりも大きくなってUターンした者には、島のために貢献してくれることを期待したい。
実際に今、八重山高校でも八重山商工でも中国語科目が組み込まれ、八重山高校で受講したうち一昨年から合わせて7名の卒業生が台湾に渡った。誰もが東京、大阪、那覇に目が向く傾向が、そろそろ崩れ始めているのかもしれない。
八重山は可能性に満ち溢れている。
熱帯・亜熱帯地域の植物を研究するには気候的にも合致していることは郡内にある各研究施設が立証済み。
大自然を学習材料として扱えることはIBSが立証済み。
そしてアイデンティティーの交流がいかなるものかは、アジア民俗芸能祭が立証済みなのである。
「日本の最南端」から「アジアの玄関口」へ完全に生まれ変わってほしいと願ったとき、カギを握るのはこの八重山大学なのかもしれない。
そして、もう一度世界地図を開き、今度こそ八重山を中心に周囲の大陸を見渡してみたい。

やいま編集部

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