昔、竹富島の仲筋村の主で新志花重成(アラシハナカサナリ)という人が、日照りで村人達が困っている事にたいへん心を痛めて、どうしたらいいかと畑を見廻りながら考えていました。
その時に、自分が可愛がっている犬もいっしょでしたが、途中で犬の姿が見えなくなりました。そして、しばらくたった時、草むらから出てきた犬を見て、「あれ!」と思いよくよく見ると、犬の尾が泥水でぬれていました。
犬はいかにも「自分について来い」といっているように、尾をふりながら、今出てきた草むらの方を振りかえります。その後を追って草むらに入って行って見ると、地面がじっとりとぬれていて、そのあたりの草だけが青々としています。
持っていた杖で、地面を掘ってみると、なんと、水が湧き出しているではありませんか。
その井戸の水で、村人も、畑も、ようやく生きかえる事ができました。今でも、仲筋村には仲筋井戸(ナージカー)が残されています。