ききみみ頭巾

 ある一人の男が自分の家や畑のまわりにある木や草花をとても大切にして、切ったり折り取ったりしないようにしていました。そんな木や草花は、日陰を作ってくれたり美しい花を咲かせて人を楽しませてくれているのですから。
 ある日、不思議な老人がぶらりと男のところにやって来て、一枚の頭巾をくれました。 男がその頭巾をかぶると、なんと不思議なことでしょう。男は鳥や動物たちの話していることがすっかり解るようになりました。
 小鳥たちは「おいおい、今年は雨が少ないから畑の作物がたいへんなことになりそうだよ」とか、動物たちが「ああ、今年は木の葉や野菜を食いあらす虫がたくさん出てくるよ」とか話し合っているのがすっかり解るので、男は畑にやる水の心配や虫を退治する仕事をひどいことになる前にできるようになり、とても豊かになったそうです。

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