むかしですね、海の王様が病気して、非常に困ってね、いろいろな海の動物、タコとかサカナとかカイとか、あれらがね、「どうすれば海の王様が助かるか」ということでね、心配しておったところが、神様が「サルのナマギモをとってきて、この海の王様にあげたらよ、病気が治る」ということになったらしい。それじゃあ、「だれが行ってこのサルのナマギモをとってくるのか、だれかにすんのか」ということになってね。
それではね、このカメさん、カメはね、海にも水の中でも生活するよ、また陸にもね、きてもね、カメは息をして、タマゴを産むでしょう、カメはね。だからね、陸に行ってもね、このカメじゃあなくちゃあね。
「サルをだましてね、つれてきてね、サルを殺してね、海の王様を助けることにはいかんからよう、このカメさん行ってこい」っていったから「海の動物みんなからのすいせんだから、そいで行きましょう」といってよ。行って陸にあがったところが、このサルがね、木の上に木の実をとって食べていてよ、おったらしい。
それでね、このカメさんはよ、あれに真相はいわんでよ、「竜宮を見せるから」といって、「竜宮はいいとこだから、みせるから」ということで、うそをいうてね、つれてこいということになってね、カメさんがサルによ、「竜宮というところによ、何月何日はね、海の動物がね、みごとに竜宮でね、素晴らしい行事がありますので、みせによ、あなたをつれてこいとおっしゃたので、きましたからよ、あんたいらっしゃってみてくださらんか」ということをいうたらね、「行きましょう」ということでね、このカメさんにのってね、行ったらしい。
今度この海によ、行ったところが、今度はタコがね、「おい、あなたはね、こん中にすかされてくるんだからよう、あなたのナマギモをとってね、海のえらい人にあげるよ」っていってよ、「困っている人があなたのナマギモをあげるためによ、あなとを深いところにつれて、あなたはすかされて、ここにきたんだから、あなたは殺されるよ」っていってよ、タコがいったらしい。
タコがいうたからカメさんも驚いて、「こんなにわざわざつれてくるのに、あなたはこんなにものゆうて、大変になっている」って心配しておったところが、このサルは利口だから、「それじゃあ、あなたはね、こうなりますよ」といえばいいのによ、「わたくしのキモは木にさげておいてもってこないよ、裸できておるんだから、キモは木にさげておいた」って。
そいであきらめてよ、サルも利口だから、カメさんによ、「もうタコがいうたので、それじゃあ行って帰ってよ、また行ってもってきましょう」っていってよ、カメさんにのってよ、そして浜によ、おろしてやったところが、カメはね、うそをいうて、自分をね、やったということで、このサルはね、石をもってきてね、上から「あんた殺してやる」と。「わたくしを殺すためにだよ、あんたはこんなにわたくしをね、タコがね、いわなければわたくしはね、殺されたはずだがよ、あんたを殺してやる」っていってよ、上から石でたたいたのがね、カメさんはね、ガラよ、ガラによ、ひびがいってよ、こんなにあるという話があります。
そいでねえ、もうカメさんはねえ「サルにひっかかれてよ、タコがこんなにゆったためによ、ひっかかれて」ってゆうてね、もう帰ってね、竜宮に行ってよ。すると途中によ、タコがね。タコはよ、むかしはセンバリといってよ、今のハリセンボンはね、むかしはね、タコにあったらしい。タコはね、「あなたはこんなにうそをいってね。(略)」ってたたいてよ、このハリセンボンにみんなうつしたというふうになってね。
もう海の王様もね、亡くなられたということで、タコのしわざまでよ、よんでおけばね、サルのナマギモもとってね、海の王様にあげて、治したつもりだから。こんな話もあります。