大晦日の客 | 熊谷溢夫の昔話#7

もう明日は正月。
どこの家でも、ごちそうを作ったり、正月飾りを作ったりで、おとなたちは大忙し。
そこへ、みすぼらしい身なりの旅人がやって来て、一夜の宿を乞いましたが、どの家でも、それどころじゃないとことわられてしまいました。
旅人はしょんぼりと村のはずれまでやって来ました。
そこには、もう一軒だけ、今にもたおれそうな小さな家があるだけ。
旅人はその家の前に立って「どうか今夜ひと晩、泊めてくださらんか」といいました。
内から顔を出した人は、はずかしそうに、「うちは、こんなにせまくて、なんのおもてなしもできないけれど…」といいながら旅の人を泊めてあげました。
その後、この家はたいへん栄えたという、物より、心が大切ということのお話し。

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