さかなクン

ダイビングフェスタ石垣島2006のゲストとして来島。総合体育館メインアリーナで行われた講演会は満員御礼の大盛況だった。石垣島の大ファンだというさかなクンにインタビュー。

―『どうぶつ奇想天外!』で石垣の海を取材されていましたが、潜った感想は

さかなクン
石垣島の海はサンゴ礁がとても豊かで、海の中のオアシス、海の中の森ですね。サンゴが様々な地形を作っていて、生態系が本当に豊か。また、種の多さというのが素晴らしい。一種一種の生物が独自の暮らし方をしていておもしろいですね。僕は以前から沖縄が大好きで、ダイビングのライセンスを取ったのも沖縄なんです。来る度に石垣島の海は素晴らしいなと思いますし、住んでいる方々もとても明るくて、魅力的で、パワーをたくさんいただいています。

―沖縄の魚は独特だと言われますが

さかなクン
全ての種の魚がそれぞれの特徴を持っていますが、やはり沖縄の魚は独特で、カラフルです。美しいサンゴ礁にマッチするように、複雑で繊細な色の配分をしています。僕も沖縄のサンゴ礁に暮らす魚はなぜこんなに色とりどりなのか調べたことがあるんですが、一つは仲間どうしを認識し合うための模様だと思います。特に沖縄はチョウチョウウオの仲間とベラの仲間が多いんですが、これらはシルエットだけではほとんど区別がつかないんです。だから仲間どうしが認識し合うために色や模様を変えているという説があります。でも今日、石垣島ダイビングスクールの中本純市さんに教えていただいたのは、沖縄は紫外線の量が多いので、その紫外線を吸収しすぎないように鮮やかな色になっているという説です。「なるほど、そういう効果もあるのか!」とビックリしました。あくまでも推測ではありますが、素晴らしいお話だなと感動しました。考えてみると、サンゴ礁の魚を水槽で飼育した場合、光の加減を自然の状態に近づけないとすぐに色あせてしまうんですよね。

―地方ではいろいろな発見があるんですね

さかなクン
僕はいつも教えていただくことばかりですよ。中本さんとは『どうぶつ奇想天外!』の取材で初めてお会いしたんです。それまで面識はなかったんですが、以前から中本さんのお名前にちなんだ魚はよく知っていたんです。ナカモトイロワケハゼという魚がいるんですが、これは最近発見された新種の魚で、背中は純白、目から下のホッペタ辺りから鮮やかなレモンイエローなんです。目がクリッとして、口がへの字口で本当にかわいいんですよ。まだ名づけられる前、神奈川県の生命の星地球博物館でそのハゼが研究されているのを見て、どんな名前になるか楽しみにしていました。その翌年にナカモトイロワケハゼという名前で雑誌に出ていたので、なんでナカモトなんだろうと思っていたら、『どうぶつ奇想天外!』で中本さんにお会いしてお話しているうちに発見者だということを知って、「中本さんってナカモトイロワケハゼの中本さんなんですか?!」と驚きました。ナカモトイロワケハゼは中本さんのお名前から取ったものなんですね。中本さんは学者さんの間でもよく名前を知られている素晴らしい方です。石垣島の海がただ美しいということだけではなく、魚が持つ特徴や独自の生態があることを教えていただいて、僕は中本さんから石垣島の海の魅力を学びました。

―食育の大切さというのが石垣島でも言われていますが、例えば魚嫌いを克服する方法はありますか

さかなクン
食育はとっても大事ですね。やはり魚屋さんで切り身を見るだけではなくて、実際に魚と触れ合うことですね。特に島の子どもたちには、石垣島にはこんなに素晴らしい世界があるんだと自慢してほしいです。海の素晴らしさを知ると、この豊かな自然をちゃんと大切にしなきゃいけないということもわかります。サンゴや海の生物は陸からの栄養で育まれているわけですから、自然環境は全てつながっているということをまず知ることから始まると思います。

―八重山の人へ一言メッセージを

さかなクン
八重山は素晴らしいです! 八重山に来て一番最初にいただいたのは八重山そばでした。うまかったです! 空も青くて、人々が明るくて、食べ物がおいしくて、時間がゆっくり流れていく自然な感じが本当に素晴らしい。帰りたくなくなっちゃいます。石垣島最高!!
 

さかなクン

東京都生まれ。TBS系『どうぶつ奇想天外!』にお魚ナビゲーターとして出演中。テレビ東京系『TVチャンピオン全国魚通選手権』では5連覇を達成。水産庁水産政策審議会特別委員、環境省「環のくらし応援団」メンバー、JF全漁連魚食普及委員など、テレビ以外でも活躍の幅は広く、1年365日、全てが魚づくしの多忙な生活を送っている。
 

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