百姓とアッコン

 あるところに、ひとりの百姓がいました。毎日、朝から晩まで畑仕事に勢を出しています。
 百姓の畑の近くに一本の大きなアッコンが(アコウ)の木がありました。百姓は朝、畑に入る前にこのアッコンのところに来て、「お早うございます。今日も一日よろしくお願いします」とていねいにあいさつをします。また、お昼になると「またここで休ませてもらいますよ」と言って、アッコンの木の下でお昼を食べるのでした。夕方になると、「今日も一日、涼しい日陰をありがとうございました。また明日もお世話になりますよ」と頭をさげて家路につくのでした。
 このアッコンには神様が宿っていたので、神様はこの礼儀正しい働きものの百姓に、いつもほんの少しだけみのりを分けてあげました。
 百姓にその神様が見えていたのかって、いいえ、百姓が言うには「神様の姿は見たこともないけれど、いつも涼しい日陰をつくってくれるありがたい木だったからね」ということでした。

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