昔、竹富島に住んでいた兄と妹が浜辺で遊んでいて、不思議な木の実がプカプカと波にゆられているのを見つけました。その実をじっと見ていた兄は、大きな木の丸太を探し出して来て、その実のかたちに似せたものを作りました。
それを海に浮かべると、人が楽々と乗ることができました。それがある日、嵐の時に海に流されてしまいました。
それからしばらく後に、黒島の人たちが不思議な乗りものにのって海を渡るという話が聞こえてきました。それは兄が作った乗りものにそっくりの形をしていました。 近くの島の人たちもそれを真似て、同じような乗りものを作り、海に出るようになりました。これが八重山の舟のはじまりだということです。
かたわづきはもしかしたら、片輪月と書くのかもしれません。丸い形のくり抜きの舟だったのでしょうか。