わずか1センチにも満たない小さな体で、強い光を点滅させて繁殖を遂げるヤエヤマホタル。その大群舞が今年も3月から盛んに八重山の山岳部で繰り広げられている。毎日、午後7時から午後8時にかけての短時間に現れ、やがて姿を消す。神秘的な現象だ。
このホタルの繁殖期に、個人で自然観察ガイドを営む人が観光客に向けホタル観察を実施しており、真っ暗な闇夜を安全にホタル観察をガイド。3月から5月まで、オモト岳やバンナ岳、前勢岳で複数の車が山岳部で見受けられるシーズンとなっている。このホタルの群舞は西表島では2月から始まり、石垣島では少し遅れて3月にはじまる。ヤエヤマホタルは、ヤエヤマヒメホタルとも呼ばれ、点滅する光り方が特徴。膨大な数になることもあり、午後7時から8時のわずかな時間に、一斉に光り出す様子は圧巻。森を神秘的な世界に一変させるため、一度見た人はとりこになりやすい。時に、点滅が複数のホタル間で同期する瞬間もあり、見ごたえある光景が暗闇に広がる。ガイドのエスコートで、真っ暗にもかかわらず懐中電灯もつけず、じっくり目が暗闇に慣れるように観察の準備も怠り無く、マナーをしっかり守る人々は、ガイドの説明を聞きながら大自然の神秘に触れていた。
ホタルの写真撮影を楽しむ人も訪れ、三脚に固定して露光を短くして、何度も撮影して合成するなどしながら、ホタルの天然芸術を素材に写真を作る人もある。しかし、実際のホタルの点滅を写真に残すことは困難で、その残像をシャッターを開け放って、露光時間を長くして、光の雰囲気を残すのが精一杯。写真でも残せない美しさが、ホタルの群舞にはある。写真は、露光時間1分、ISO感度4000、F2.8、撮影機材5DマークⅡ.