またも出現のカピバラ

またも出現のカピバラ

 3月9日、午後1時頃、石垣市名蔵アンパル上流にある名蔵川と白水川との合流ポイント近くでカピバラが出現。川は両岸すべて葦に覆われた状態で、その繁茂する葉の中から茶色の毛に覆われた体が露出。よく見れば頭らしき部分と目、耳がわかり、カピバラであることが確認できた。周囲は水田地帯で、鴨を脅す空砲の音がする中、カピバラはその音に驚く様子もなく、じっとしていた。やがて、体を起こして、頭が草から現れると、そばで見ていた人が、「おお、大きい」と、感嘆の言葉を思わず上げた。たしかに、予想よりも大きな頭で、最初見えたかわいいカピバラから、思いのほか大きい頭に、野生感が伝わって、気後れする気持ちも出てくる。施設で飼われていたことがあるという情報もあり、そこはおとなしいネズミの一種。イノシシのように闇雲に駆け出したり、ワニのように人を襲うわけでもない。ただ、大きさから、簡単に捕獲できる動物ではないのが、見て取れた。何しろ、彼がいる場所が、葦の繁茂する川であれば、足場がない。うかつに入り込めば、足をとられる。実際、2年前に新川川で石垣市消防本部の精鋭が捕獲を試みた。やってみて、雑草が繁茂する川の足場は、危険で近づけないことがわかった。囲い込んで、なんとかなると試みたが、結局、取り逃がしている。消防は、市民への危害は見られないために、ペットの脱走と見て、対応をやめている。県の保健福祉課と国の環境省が対応するも、トラップを仕掛けての捕獲を考えるのみで、捕獲活動には取り組んでいない。今年、はじめて人的な被害が発生。カピバラが見られる周辺の水田で、苗箱があらされたのだ。すでに50箱近くの稲の苗が食われて、使えなくなっている。農家にしてみれば、被害の額は痛手だ。今回、カピバラが発見された場所は、その被害の水田のそば。カピバラには、餌場に留まっている感覚ともとれる。これまでカピバラは、人を見るとすぐに逃げたものだが、今回は逃げない。もしや、縄張り感覚にあるかも。今回のように水田の苗に被害が出たのは、今年がはじめてだと、農家はいう。名蔵に現れて2年になるカピバラが、2年目にして見つけた餌場感覚とすれば、今後、被害は拡大の可能性もある。
 農家にしてみれば、駆除してほしい。一頭50万とも、70万とも言われるカピバラだ。射殺はかわいそうでもあり、関係機関於の対応が待たれる。

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